アメリカン・ハッスルとは何だったのか

嘘と詐欺を考える

嘘も方便を通り越して

嘘をつく行為に対しては人によって反応はそれぞれだ、ただ大半が恐らく嫌な気持ちにされるのが最も多い意見ではないでしょうか。身近な掃除をしていないのにしたと付く小さな嘘から、不倫をしてすみませんと言っておきながら実は建前でしかないといった大きな嘘まで、世の中は基本欺瞞で満たされています。心外だと言ってくる人もいるでしょう、ぶっちゃけ真実ほど見たくはないと訴える方は潜在的に見ても大多数だ。嘘をつくことは自己防衛本能から来る行動だと述べる心理学者もいる、嘘を付かなければ精神の均衡が保てないといった危うい人もいると思います。時々によって嘘をついていいものと悪いものはある、それも状況によりけりだ。

そう言っておきながら個人的に嘘をついた人は嫌う傾向にある。学生時代にはしょっちゅう嘘をついて人を翻弄してきた、そんな人を見てきたからかも知れない。珍しい話ではないでしょうが、世の中いろんな人間がいるもんだと呆れを通り越して関心してしまう。嘘をつく、些細なことから大きなことまでと幅広いが、嘘がやがて犯罪という形に変質するケースもある。いわゆる『詐欺』という手口だ。説明することでもないが、詐欺被害にあったもしくは合いそうになった人もまたごまんといる。一般的に言えば『オレオレ詐欺』だ、電話越しで息子を語る人が電話してきて緊急事態だと言い、やってきた代理人から多額のお金を受け取る手口が今は横行している。騙す方もだが、騙される方も大概だ。こうした面から見ても社会に満ち溢れている嘘や詐欺に、今日も人は翻弄されます。

ただ詐欺は詐欺でも国や警察の要請によって騙そうとする大掛かりな捜査が展開されるといった、奇想天外すぎる物語が存在しているのをご存知だろうか。しかもフィクションではなく、ノンフィクションでだ。リアルに起こった事件、そこに絡む事件を元に描かれて一昨年世界的に大ヒットした『アメリカン・ハッスル』という作品がある。この作品は実際にあった事件を元に執筆が為されているのだ。

作品概要

アメリカン・ハッスル、この映画は2013年に全米で公開、日本には2014年に輸入されて公開されました。1ヶ月前後の時間は空いていたものの、公開当初から話題性とキャスティングについては大変評判があった。また内容も実際にあった事件を元にして作られているとだけあってノンフィクション性溢れるフィクション映画の醍醐味を堪能したいという人には打って付けの作品と言えます。

この作品の主人公は俗にいう、『詐欺師』だ。では詐欺師が華麗に人を騙し続けていき、最後は何故か裏社会の大物を捕まえて自分がこれまで行ってきた行為は全て無罪放免になる話か、といえば違います。そもそも主人公は冒頭から捕まってしまいます、話が完結してしまうではないかと思うだろう。ですがその詐欺師としての実力を見込んだFBI捜査官から司法取引を持ちかけられるのです。その内容とは、自分たちの指示の下で政界にて活躍する政治家たちの汚職を暴くためにその詐欺の手腕を発揮しろといったものだった。

ではまず簡単に話のあらすじから見ていこう。

あらすじ

詐欺師として活動していた『アーヴィング・ローゼンフェルド』は絵画詐欺を行っていた。今日もまた獲物を見つけてその毒牙にかけようとしますが、成功寸前でFBI捜査官である『リッチー・ディマーソ』により逮捕されてしまいます。進退窮まったアーヴィングでしたが、そんな彼にリッチーは司法取引として釈放を条件にある事を依頼した。それは欲望渦巻くギャンブル、ひいてはカジノを経営するために暗躍をしていた政治家達による汚職を暴くことを条件にした、囮捜査をすることに。

アーヴィングの愛人であり詐欺師としてもパートナーだった『シドニー・プロッサー 』は当初、取引に応じるべきではないといった。しかし罪が放免されるならばとして譲らないアーヴィングに対して、シドニーもまた自身を餌にして彼の助けになろうと決意する。

こうして男1人と女1人、それはやがてFBIのみならずアメリカ全土を揺るがすことになる一大スキャンダルへと発展するのだった。

不正を暴くには嘘で対抗

この映画では詐欺師がFBIから提示された罪の減刑、あるいは釈放といった取引に応じることで行われる。そのためしていることは反社会的でありながら、行動の全ては国家の威信や権威などに満ち溢れていた。何ともあべこべな状況になっているため、一見すると詐欺はダメだと言いたくなるのを抑える必要が出てきます。

しかしこんなこと本当にあるのかというと、実際にFBIが逮捕した、あるいは服役をしている詐欺師を利用して囮捜査を行うケースは頻繁にある。

Google、囮捜査に引っかかって罰金刑

この話題は知っている人なら知っているもので、2009年に起こったGoogleを巡る事件でその結果でGoogleはアメリカの歴史史上で最大級とも言われている罰金刑を受けている。その額およそ5億円となていますが、これがどのように詐欺師を利用したのかというとGoogleの広告を違法に掲載して違法薬物の販売を幇助しているかどうかを暴くために利用したものがあった。

詐欺師は連邦政府からの要請の下で囮捜査の主役を語り、結果的に違法行為があった事実を白日のもとに晒した活躍をしたのです。本来掲載していけないはずの広告が山程出てきてしまい、証拠も抑えられて反論すら出来ない状況にまで追い込まれたGoogleは、日本でおよそ400億円とも言われる額を支払う羽目になった。悪党が悪党を騙して、正義を示すとは何とも皮肉な話だ。ただ逆に言えば詐欺師を騙すためには詐欺師以外に他はないというべきかもしれません。

賛否両論はあるものの、

アメリカン・ハッスルのように詐欺師の協力を得ることで犯罪の記録を見つけ出すやり方は、賛否両論あるはずだ。けれど実際詐欺師は自身の事を取引にして、本来暴かれることのない欺瞞を見つけ出して、警察の手柄とするやり方については昔から続いている。実際に起こった事件を題材にしているだけあってか、作中で繰り広げられる騙し騙されといった肉薄する緊迫した状況に息を呑む暇すら与えて貰えない。

一般的に見れば嘘や詐欺は行けないことだ、ただ時に詐欺などが活躍する場面もある。良いことではない、しかし正義の名の下ではそれすらも肯定化されてしまうのだから面白い話だ。

詐欺ではありません

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